広島市長メッセージ
「2025年平和行進」に御参加の皆様が、本日無事に到着されましたことを、心からお 喜び申し上げます。また、日本山妙法寺平和行進団の皆様には、毎年、世界平和推進のた
めに心のこもった御寄附を頂いており、心から感謝申し上げます。頂きました御寄附は、 核兵器のない平和な世界の実現のために、大切に管理し役立てさせていただきます。
1945年8月6日、人類史上初めて広島に原子爆弾が投下され、街は焦土と化し、多く の人々の命や日常生活が奪われました。そして、心身に悪影響を及ぼす放射線は、今なお 被爆者に様々な苦しみを与え続けています。
ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や中東情勢の悪化といつた厳しい世界情勢により、 国家間の疑心暗鬼はますます深まつています。他国より優位に立ち続けるための核戦力を
含む軍拡競争が続き、世論においても武力に頼らざるを得ないという考えが強まっていけ ば、平和な世界の実現は遠のくばかりです。
このような状況だからこそ、市民社会が決意と希望を胸に心を一つにして行動を起こし、 為政者に政策転換を促すことが重要となります。昨年度、広島平和記念資料館に世界中か
ら過去最多となる226万人を超える人々が訪れたことは、かつてないほど、被爆地広島 への関心、平和への意識が高まつている証しとも言えます。ヒロシマの平和への願いの原
点は、「こんな思いは他の誰にもさせてはならない」という被爆者の切なる願いです。
争いを生み出す疑心暗鬼を消し去るために、今私たちができることは、音楽や美術、スポ ーツなどを通じた交流によつて他者と経験や価値観を共有、共感し、対話することで、「信 頼の輸」を育み、日常生活の中で実感できる「安心の輸」を広めていくことです。そうし た意味で、本年も皆様が「平和行進」を開催され、戦争犠牲者を悼むとともに、「武力で平 和をつくることはできない」と訴え続けられることは誠に意義深く、その取組に対し深く 敬意を表します。
本市は、世界の約8, 500の平和首長会議のカロ盟都市と共に、市民社会の平和意識の醸 成に一層取り組み、「平和文化Jに満ちた世界を創ることで、核抑止力に依存する為政者に、
対話による平和的解決に向けた外交政策への転換を促していきます。皆様には、核兵器の 廃絶とその先にある世界恒久平和の実現に向け、共に力を尽くし行動してくださることを
心から期待しています。 ´
終わりに、皆様の今後ますますの御健勝と御多幸を心よりお祈りいたします。
令和7年(2025年) 8月 4日
広島市長 松井 一實
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